話題
難治性胃潰瘍の局所注射療法―(1)適応と機械
三輪 剛
1
1国立がんセンター内科
pp.1550
発行日 1971年11月25日
Published Date 1971/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111445
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難治性胃潰瘍を何とかして癒してやろうという気持は診療を行なっている者にとって一つの大きな気がかりである.経口薬も実に多種あらわれて使ってくれというメーカーの宣伝攻勢も激しいが,もうひとつこれという効果がほしいものである.胃生検用のファイバースコープができたとき,みなが等しく考えたことはこの機械を使って生検診断ばかりでなく,治療もやってみようということであったと思う.
その治療面の一つとして,生検用チャンネルを通して注射針を挿入し,目的部位を直視下に刺し薬液を注入するとどうなるであろうかという問題があった.昭和42年のはじめにポリエチレンチューブの先端に注射針をつけた手製の注射管を作り,生検用ファイバースコープを通して胃癌にマイトマイシンを注射したのが,そもそものはじまりであったが,注射針とチューブの接着の問題や鉗子出口のところに針がひっかかってうまく出なかったり,接着部がひっかかって抜去がうまくいかなかったり,注射に際してかなり高圧をかけるので接着部がこわれたりして,実験は失敗ばかりしていた.注射管の製作をあるメーカーに依頼したが一向にとりあってもらえず再三たのんでやっと作ってもらったのが,何と先端の針とチューブの接着部が太すぎて生検用チャンネルを通せないものだったりしたことは,苦労話の一つである.
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