--------------------
書評「CT・MRI診断のための断層解剖アトラス 全2冊」
鈴木 宗治
1
1東京医科歯科大学
pp.1176
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111477
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「CT・MRI診断のための断層解剖アトラス」は,著者(P. Gerhardt & W. Frommhold)も序で述べているように,Ttibingen大学解剖学教室の故Wetzel教授による教育用供覧資料を基にしてつくられた頸部・胸部・腹部の冠状,矢状および水平断面解剖像とX線CT像およびMRI像を対比した正常アトラスである.A3変形サイズで索引を含めると131頁にのぼる大著であるが,書価のほうは1万5千円弱と学生にとっても容易に手の届く範囲の値段である.
解剖断面図はすべて単色ではあるが,カラー図譜にもひけをとらない綺麗でかつ鮮明なセピア色で統一されている.解剖図の下方に一連番号のついた日本語の解剖名が列記されている.それらの番号は見開きの頁にあるX線CT像およびMRI像の番号と共通しており,引用が極めて容易である点が大変優れている.原著の中の一部のMRI像が訳者らの最新のもので置き換えられている.また所属リンパ節や病期分類が適所に挿入され,末尾にMRIの基礎についての解説が加えられているなど,訳者らの努力と読者に対する思いやりは高く評価されるべきである.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.