一頁講座
肝癌とαfグロブリン(その2)―Carcinoembryonic proteinsと早期診断の可能性
平井 秀松
1
1北海道大学医学部生化学教室
pp.226
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111469
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病理形態学では“細胞の幼若化”とか,“未分化の細胞”といった表現をよく用いる.その細胞達は,失礼な!といっているかも知れぬが,αfの出現はどうもそのような形態学的表現の正しさを生化学的に裏づけたように思う.
胎児はその生長が極めて早い点で癌とよく比較対照される.事実そのアナロジーを示すような生化学的現象がいくつか見られている.たとえばアルドラーゼ,ヘキソキナーゼ,ピルビン酸キナーゼなど(解糖系に関与する重要な酵素で筋や肝に多い)の酵素には筋肉型と肝型のアイソザイムがあるが,胎児肝には筋肉型が多く,成人肝は肝型である.ところが成人肝細胞が癌化するや筋肉型の酵素が再び現われる.
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