一頁講座
大腸癌のX線所見―(3)潰瘍浸潤型の癌について
丸山 雅一
1
1癌研究会附属病院内科
pp.202
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111464
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前回は,両側辺縁に非対称性の変形がみられるものをとりあげました.今回は,変形が両側対称性である病変をとりあげてみます,私どもの成績では病変が全周性であるものの85%,1/2周以上全周にみたないものの28%のX線所見に両側対称性の変形がみられました.全周性の病変の残りの15%は,狭窄が高度で逆行性には,造影剤が入らないものです.
さて,大腸癌による変形は,これまで2回とりあげた症例からもあきらかなように,病変と正常部分の境界は,一般に,あきらかに境されています.これは,大腸癌の肉眼所見と,浸潤型態に関係があります.大腸癌は,胃癌でいうBorrmann Ⅱ型のように限局した隆起の中に潰瘍を形成するものがほとんどです.これは,潰瘍限局型といわれています,そして,このような型の癌が全周性にあれば,X線像では対称性の変形がみられるわけです.この場合の変形の特徴は,病変部と正常部分の辺縁が直角にちかいか,あるいはそれよりも鋭角をなすことです.この所見は,欧米では“shoulder defect”といっています.このことは,病変の側面像を考えれば理解できます.
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