話題
犬の人工胃癌―(1)そのX線診断
山田 達哉
1
,
野口 真利
2
,
市川 平三郎
1
1国立がんセンター
2東京医科歯科大学第1内科
pp.1678
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111222
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杉村らはN-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(以下NGと略)によって,ラッテの腺胃に高率に胃腫瘍を発生せしめることに成功(この詳細は本誌3巻809~816参照)して後,引続き犬にNGの投与を開始した.我々は臨床家の立場から,X線や内視鏡,生検など人の胃癌の診断技術を応用し,犬を屠殺せずに,胃癌の発生或は胃癌の経過を追求するために,研究所の杉村らと一致協力して,この研究を推し進めている.犬胃は形態的には人胃に比較的よく類似しており,検査方法やX線写真の読影上は人胃での経験をほぼ応用できるが,技術的に困難な点も少なくない.以後3回に分けてその方法及び成績につき略述してみたい.
勿論,この実験が直ちに人の胃癌に結びつくとはいえないが,少なくとも犬胃については胃癌の発生の状況や初期像,更には経過観察のできることは,ひいては人の胃癌の発生や経過を研究する場合に大いに役立つものと思われる.
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