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初心者講座 胃X線検査のポイント―私の検査法
9.ルーチンX線検査の盲点と対策
Radiological Examination of the Stomach: My Routine Practice
多田 正大
1
,
竹林 政史
2
Masahiro Tada
1
1京都第一赤十字病院・第2内科
2藤田胃腸病院
pp.1120-1121
発行日 1990年9月25日
Published Date 1990/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111429
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- Abstract 文献概要
X線検査にせよ内視鏡検査にせよ,私たちが現在行っている上部消化管検査には多分に独り善がり的な点が少なくなく,正直なところ撮影・読影をも含めて決してパーフェクトな検査が行われているとは言い難い.盲点の皆無な検査がなされることのほうが珍しく,後で青くなることも少なくない.自らの検査法を戒める意味も込めて,本稿をしたためている.
ルーチンX線検査法といえども病院で行う検査は精密検査であるべきである.無症状の人たちに行う集団検診とは異なり,患者も正確さを期待して受診しているはずである.しかし現実には狭い胃の中といえどもなかなか完全に検査することは困難であり,妥協しなければならない場合も少なくない.すなわち,あってはならないことであろうが,どこまで手抜きが許容されるのか,その接点のうえでルーチンX線撮影がなされるのであろう.ちなみに私たちが行っているルーチンX線検査では,発泡錠を飲ますことからスタートして一通りの撮影を終了するまでの時間は高齢者とか理解力に乏しい人など,いろいろなケースはあるが約10分間前後であり,X線被曝を少なくするためにも,なるべく透視時間を短縮するよう心掛けている.また,ルーチン検査といえども全症例をあとで医局員全員で再度読影する体制をとっている.そこで多人数の医師の目で行う読影診断に耐えられるよう,なるべく一定の撮影方式に従うように心掛けているが,その方法は他の施設と大差はないであろう.そのうえで少しでも盲点を少なくする目的で,私たちは検査の終了間際に半立位腹臥位の前壁二重造影を追加するように工夫しているので,その点について紹介してみたい.
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