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海外文献紹介「胆囊摘出術と大腸癌」
中村 常哉
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1愛知県がんセンター消化器内科
pp.778
発行日 1990年7月25日
Published Date 1990/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111054
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近年,胆汁酸と大腸癌との関連性が注目されている.著者らは胆囊摘出術(胆摘術)と大腸癌の発生に関して25の文献を調べたところ,32%(n=8)が両者に関連がなく56%(n=14)が関連があるとし,3つの研究では胆囊摘出後,大腸癌の危険度の有意な増加を認めていなかった.これらの研究成果がまちまちであることより,著者らはhospital-based case-control studyを実施した.
大腸癌と診断され9つの病院から退院したすべての患者が同定され,各症例について同じ病院で2つのcontrolが求められた.1つは良性の胃腸疾患で入院しており(対照群A),他の1つは肺癌か乳癌で入院していた(対照群B).大腸癌例と対照群は性,年齢,病院などは一致していた.大腸癌症例は569例,対照群Aは566例,対照群Bは563例であり,大腸癌症例は対照群に比し大腸癌との診断前に有意に多く胆摘術を受けていた.大腸癌の局在は胆摘術例において有意に近位大腸に多かった(ρ=0.01).また,大腸癌の危険度は年齢と共に増加した.
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