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Gallstone size and the risk of gallbladder cancer: Diehl AK(JAMA 250: 2323-2326, 1983)
胆囊癌では高率に胆石が合併していることから,胆石は胆囊癌の一大リスク・ファクターと言われている.しかし,胆石患者で癌の発生をみる経験は極めて少ない.この関連を調べるために,著者は1976年から1980年までの5年間に参加10施設に入院した81例の胆囊癌患者および同数の2っの対照群;1つは良性胆囊疾患群,他は胆囊以外の疾患群について,retrospectiveに調査した.その内容は年齢,性,人種,健康に関する慣習(酒,喫煙,常用薬),既往歴,手術所見(胆石の大きさ),病理所見などについてである.偏りを避けるため癌群および対照群についてそれぞれ同一病院より同数を抽出した.年齢は各群とも平均約70歳,男女比は1:2で同様である.結果はラテン・アメリカ人が,また未婚者が少し癌群に多いが有意差はなかった。酒,喫煙は差がなく,薬剤については降圧剤使用者が癌群に少なく,宗教についてはカソリックとプロテスタントの間に何ら差がなかった.また,胆石の数については,多発性,単発性,無石に分類され,癌群では,多発性69%,単発性27%,無石4%,良性胆嚢疾患群では多発性74%,単発性20%,無石6%であった.しかしながら,両群間に統計学上の有意差は認められなかった.次に胆囊癌例において,少なくとも必ず1個は大きな胆石が認められ,胆石の直径が1cm以下の場合に比較して,径が2cmから2.9cmまでの相対危険度(Odds ratio)は2.4倍,径が3cm以上は10.1倍であった.このことについて,サブグループ別にデータ分析を行ってみたが,やはり同様な結果が得られた.以上より胆石の大きさが無症候性胆石症の管理に密接な関連を示すことがわかった.つまり3cm以上の大きさの胆石を有する患者は無症状であっても,胆囊摘出術を選ぶべきであろう.
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