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診断能の進歩,術前ケアの進歩,外科治療の進歩にもかかわらず,胆囊癌は依然として予後不良であり,その5年生存率は5%以下にとどまっている.その原因は胆囊癌が早期には無症状であるための診断の遅れにあり,根治手術が行われているセンターにおいてさえ,その60~90%が診断時,既に進行癌である.多くの外科医が生存率改善のために根治手術が必要であると述べているが,本当にそうであろうか?著者らはMayo Clinicで1972年~1984年の間に切除した111例の胆囊癌症例の予後をretrospectiveに検討し以下のように結論づけている.
予後の規定因子は黄疸,stage,腫瘍の悪性度であったが,DNA ploidyは指標とはならなかった.Nevin分類変法によるstage分類ではstage 1(in situ carcinoma);3例(3%),stage 2(mucosal or muscular invasion);6列(5%),stage 3(transmural invasion,directliver invasion);22例(20%),stage 4(lymph node metastasis);18例(16%),stage 5(distant metastasis);62例(56%)で大部分が進行癌であった.全体の生存期間の中央値は0.5年,1年生存率27%,5年生存率13%であった.肉眼的治癒切除は40例(36%)に行われ胆摘術22例(20%),根治手術18例(16%)であった.治癒切除群の生存期間の中央値は胆摘術で0.8年,根治手術で3.6年と後者で優れていたが,5年生存率はそれぞれ33%,35%と差がなかった.5年生存例の内訳は胆摘術群ではstage 1;2/3例,stage 2;5/5,stage 3;0/8例,stage 4;0/6例,根治手術群ではstage 2;1/1例,stage 3;3/12例,stage 4;2/5例であった.このように根治手術により5年生存の得られた進行癌症例があるものの,結局のところ胆摘術と比べ5年生存率の改善は得られなかった.
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