今月の主題 前癌病変としての胃潰瘍とポリープの意義
ポリープの部
前癌病変としての胃ポリープ―悪性ポリープの発生機序について
土地 邦和
1
,
武藤 徹一郎
1
1東京大学医学部石川外科
pp.749-755
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110817
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Ⅰ.はじめに
胃癌の発生母地として,これまで,胃潰瘍,胃ポリープ,胃炎,迷入組織の四者があげられてきた.
これらのうち,胃ポリープについては,比較的高率の癌化率が指摘されてきたにもかかわらず1)2),潰瘍癌について,Hauser3),Newcomb4),さらには,久留5),村上6),太田7)らによって示されたような一応の形態学的判定基準がなく,一般的には,有茎性の悪性ポリープをポリープ癌とし,ポリープが2次的に癌化したものと考えられてきたようである.
この場合ポリープとしては,いわゆる腺腫性(過形成性)ポリープ8)9)(Evans10),Ming11)などのRegenerative Polyp,中村の1型12))のみが想定され,最近問題にされているような異型性ポリープ13)(Evans,MingなどのAdenomatous Polyp,中村のⅢ型)はとりあげられていない.
そこで著者は,頻度からみて圧倒的に多いいわゆる腺腫性ポリープのみに限って,その癌化の問題を検討してみた.
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