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はじめに
Borrmannの胃癌にっいての著書は2冊ある.よく知られているものは,HenkeとLubarsch編のHandbuch der speziellen pathologischen Anatomie and Histologieの第4巻第1部(1926)の胃および十二指腸の腫瘍の部である.この中の第3章で,胃癌の肉眼形態について述べられており,4つの群が記載されている.この群が,しばしばBorrmannの分類として引用されているが,用いられ方,表現,内容,あるいはこの分類に入れられない症例があるという主張などと原著との問に,多くの不一致が存在する.
他の1冊は,v. MikuliczとNaunynが編集するMitteilungen aus den Grenzgebieten der Medizin und Chirurgieの第1別冊として刊行されたDas Wachstum und die Verbreitungswege des Magencarcinoms von anatomischen und klinischen Standpunkt(1901)である.ここには,1926年の書の4つの群の基礎となった4群が記載されている.1926年の書の中にも,“私が「胃癌の成長と進展経路」という以前の仕事の中で,4つの主な型を決めた”と述べ,この本の4群を引用して記し,それに引き続き,“これらの4群について更に詳しく述べる”と書いてから,改めて4つの群が出てくる.
この両者を比較・対比してみると,3と4の群では,表現や内容が異なる点があり,なかんずく4群では,引用が多いため,記述が明快でない部分がある.それゆえ,この4つの群の成立過程,背景,用いられた資料,考え方,目的などについて,できるだけ原著者の立場に立って,もう一度見直す必要が生じた.
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