今月の症例
早期胃癌:類似Ⅱb型
杉野 吉則
1
,
熊倉 賢二
1
1慶応義塾大学放射線診断部
pp.936-938
発行日 1986年9月25日
Published Date 1986/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110206
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〔胃X線所見〕患者は50歳の女性である.Fig. 1aは強めの第1斜位の二重造影像であるが,幽門前庭部の後壁に穎粒状陰影の集まりがあり,顆粒状陰影の間に不整な溝状の陰影がみられる.不整な溝状の陰影は小彎側および幽門にいくに従って微細になっている.
Fig. 1bはFig. 1aよりも斜位が軽度の第1斜位二重造影像である.微細な溝状陰影が小彎近くまで拡がっており,矢印が境界と考えられる.
この症例では,空気を多め(約500ml)のに注入してあるので頭部低位の第2斜位で幽門前庭部の二重造影像を撮影することができた(Fig. 1c, d)微細な溝状陰影と造影剤の付着の差が浸潤範囲を現しているが,Fig. 1cでは噴門側と大彎側が,Fig. 1dでは幽門側の境界がわかる.微細な溝状陰影と造影剤の付着の差は,幽門側や大彎側では一致しているが,噴門側では溝状陰影の手前に造影剤の付着の差がみられ,そこが浸潤範囲の境界と考えられた.
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