今月の主題 大腸sm癌
主題症例
C 隆起型sm癌と診断しポリペクトミーを行わず腸切除した例
5.術前にsm癌と診断しえた早期直腸癌の1例
牛尾 恭輔
1
,
山田 達哉
1
,
廣田 映五
2
1国立がんセンター放射線診断部
2国立がんセンター病理
pp.844-845
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109424
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〔症例〕48歳,女性.既往歴,家族歴に特筆すべき事項なし.1978年秋ごろより排便時に,紙に付く程度の新鮮な肛門出血をするようになり,1979年6月,当院を受診.便潜血反応陽性のほかには一般検査で著変なく,CEAは1.3ng/mlで異常を認めなかった.直腸指診で腫瘤を触れ,直腸鏡検査にて肛門縁よ5cmの後壁に示指頭大で無茎の隆起性病変を認め,中央部に浅い陥凹を確認した(Fig. 1).
生検の組織診で高分化型腺癌が証明された.バルーン直接圧迫法(阿部)による注腸X線検査では,直腸下部の後壁に24×19mm大の無茎性病変を認め,その表面は凹凸不整で,かつ中央部にわずかな陥凹が存在したため早期大腸癌と診断した(Fig. 2a).しかし中央陥凹の部は狭いため,Ⅱa+Ⅱc型とはせず,Ⅱa型早期がんと診断した.次に,深達度診断に関しては,無茎で中央部に陥凹を有すること,および側面像(Fig. 2b)で腸管固有の辺縁に陥入所見を認めたため,m癌ではないと診断した.その結果,腹・仙骨式直腸切除術が施行された.
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