胃と腸ノート
ⅡcのX線像―とくに術前X線像と術後X線像との対比成績から(4)
五十嵐 勤
1
1福島医科大学第2内科
pp.1334
発行日 1973年10月25日
Published Date 1973/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108490
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図1は前回(8巻8号1104頁)に提示したX線写真のシェーマです.図1は術前,図2は術後の二重造影像です.図2は切除胃と組織所見のシェーマです.Ⅱc型病変は胃角(A)と前庭部後壁(B)とにありました.病変Aは大きさが18mm×15mmでほぼ四角形を呈しています.病変Bの大きさは18mm×16mmで,形は佐渡ケ島に似ています.Ⅱcの境界はともに明瞭です.Niveau diferenzが明らかな粘膜陥凹を示しているわけです.深達度は両者ともmで,未分化型腺癌でした.
2個のⅡcの組織所見上の違いは,AではⅡc病変部の粘膜下層に著明な線維化巣(図2の斜線部)がありますが,Bでは線維化巣は認めないということでした.Aの線維化巣はⅡcの陥凹部に一致して,その粘膜下層に箱形に厚く密に存在し,これを仲介として粘膜層と固有筋層が固着した様相をしています.Bのほうは病変部と周辺との間に胃壁硬化としての明らかな差はないのに,Aのほうは周辺との間に階段的な差をもつ胃壁の硬化がみられます.
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