胃と腸ノート
十二指腸潰瘍の辺縁にみられる胃粘膜島
竹本 忠良
1
,
丸山 正隆
1
1東京女子医科大学消化器内科
pp.376
発行日 1973年3月25日
Published Date 1973/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108402
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十二指腸腫瘍の治癒過程にみられる再生粘膜は胃潰瘍の場合よりもさらに複雑な内視鏡像をしめすように思える,その理由として考えられることは,十二指腸の絨毛構造の再生過程のほかに,潰瘍周囲の炎症性変化が絨毛の腫大,充血,変形あるいは消失などをおこし,これらの像が再生上皮とたいへん類似した内視鏡像を示すと考えられるからであろう.
なかでも,最近近接拡大観察によってきついていることは,再生過程における胃粘膜の島状の出現でありて,この内視鏡像はかなり特異的であるから注意深く観察すればそれと判断できるように思っている.この胃粘膜の島状出現はすでに1927年にA. L. Taylor1)が剖検2例を報告しているが,そのうち1例は十二指腸潰瘍をともなわないもので,当時は化生ではなく,生来性の胃粘摸迷入組織と考えられた.他の1例は十二指腸潰瘍をともなっていたが,その辺縁からすこし離れた所にみられたためやはり迷入と考えられた.その後1964年A. H. James2)が十二指腸潰瘍の再生粘膜に化生の形で生じたと思われる症例を報告している.
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