胃と腸ノート
悪性潰瘍の治癒例(8)
三輪 剛
1
,
武藤 征郎
1
,
広田 映五
1
1国立ガンセンター
pp.60
発行日 1973年1月25日
Published Date 1973/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108343
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〔第8例〕M. K. 45歳,男.
主訴:心窩部痛.
理学的検査所見:特に異常なし.
胃液酸度:ガストリン法で最高総酸度72Eq/L.
胃カメラ所見:図1に示すように,胃角部小彎後壁よりに,活動期の潰瘍あり,辺縁腫脹し,潰瘍の中心部に出血がみられる.集中する粘膜ひだは,辺縁まで達し,後壁においては,粘膜の陥凹がみられるけれども,腫脹しているために,悪性所見ははっきりしない.この日に直視下胃生検も行なった.12日後の胃カメラフィルム(図2)では,潰瘍は著明に縮少している.前壁からの集中する粘膜ひだにくびれと中断がみられる.
胃生検:図3に示すように,潰瘍辺縁より採取された標本の病理組織学的検索の結果,signet ring cell carinomaと診断された.
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