Japanese
English
今月の主題 胃のⅡb病変
序説
胃のⅡb病変の診断は進歩したか
Diagnosis for Type Ⅱb Lesion of the Stomach
西沢 譲
1
M. Nishizawa
1
1東京都がん検診センター
pp.1275-1278
発行日 1981年12月25日
Published Date 1981/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108298
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10年前,正確には1971年の第13回日本内視鏡学会総会で初めて“Ⅱbをめぐって”のシンポジウムが東京で行われ,その後何度か学会や雑誌でも取り上げられてきたが,果たしてこの10年間,Ⅱb病変の診断は進歩したのだろうか.
10年前にも典型Ⅱb,類似Ⅱb,単独Ⅱb,随伴Ⅱbの定義でかなりの議論があった.その大きな理由はⅡbを判定する客観的な物差しがないからである.標本を肉眼的に正面から見て平坦に見えるものと言えば,かなり主観的な症例の取り上げ方になるのは当然である.それらの症例を同一に取り扱うのにはどうしても無理が出てくるので,典型Ⅱbとか類似Ⅱbなどという紛わしい言葉を生ずることになる.また随伴Ⅱbにしても,中心にどんなにはっきりした病変があっても,その周囲に平坦な広い病変を伴うときには,部分的に表面から見ても切片ルーペ像でも全く平坦に見える部分も出てくる.結局,典型か類似かという物差しと,単独か随伴かという2つの異なった物差しでⅡbをまとめようとすれば,その分類は複雑になるばかりである.
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