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編集後記
八尾 恒良
pp.847
発行日 1979年6月25日
Published Date 1979/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107711
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腸の潰瘍性病変の特集号として腸結核(12巻11,12号),クローン病(13巻3,4号)およびこれら疾患の疑診例(13巻9,12号)がとり上げられ,その病期も含めた病態が形態学の面から追求されたことは周知の通りである.これらの特集号は,腸結核,クローン病に関する諸問題を解明しようとする意図だけでなく,もっと大きな,腸の炎症性疾患を再整理しようとする目的があったわけである.
本号で取り上げられた“いわゆる回盲部近傍の単純性潰瘍”は,形態学の面からいえば一つのentityを有する一群の炎症性疾患と考えられる.本号の主題論文中で,渡辺英伸氏は従来単純性潰瘍の中に憩室炎が含まれていたことを指摘し,その鑑別点を病理学的に詳述している.また単純性潰瘍または非特異性潰瘍と呼称される腸の炎症性疾患の中に,種々雑多な病態が含まれていることは,武藤徹一郎氏の指摘する通りである.
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