Japanese
English
今月の主題 胃癌の発育経過
主題症例
A.胃癌の発育経過(形態の変化を中心として)
1)隆起型胃癌の発育経過
Case 1 Ⅰ型早期胃癌の発育経過を示す症例
A. Macroscopic changes of gastric cancer (centering on morphologic changes)―1) Macroscopic changes of protruding type gastric cancer (cases 1)
奥田 茂
1
,
今西 清
1
S. Okuda
1
1大阪府立成人病センター消化器内視鏡科
pp.10-11
発行日 1978年1月25日
Published Date 1978/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107166
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患 者:谷○忠○ 59歳 男
新鮮切除胃(Fig. 1)の肉眼所見では,前庭部小彎に3.3×1.2×2.0cmの二峰性の隆起性病変を認める.組織標本のルーペ像(Fig. 2)では腫瘤全体が癌腫で,周囲粘膜とは化生性胃炎で鮮明に境界されている.粘膜筋板の立ち上りは「箱型」よりも「噴水型」に近い.癌組織型は乳頭状腺癌,深達度mでリンパ節転移なし.
Fig. 3の術前胃カメラ像では,前庭部小彎に切除胃そのままの所見が見られる.Ⅰ型早期胃癌である.Fig. 4(術前6カ月の胃カメラ)では,病巣は表面平滑でいびつな形のⅡa様隆起で,手術時の所見とは異なっている.この時点で強く癌の疑いを持ち,一般洗浄細胞診を連続3回施行するも陰性であった.Fig. 5は術前2年9カ月の集検胃カメラ像で,後になって腫瘤形成を見る拡がりにほぼ一致して限局性のハレーションが見られ,軽度の凹凸不整像が認められる.本例は,組織所見で隆起部にATPやhyperplastic polypを認めず隆起全体が癌であったこと,および短期間に著明な形態の変化が見られ全経過が3年にも満たぬことから,初回検査時既に,腫瘤の大きさに相当する類似Ⅱbの粘膜内癌があったものと思われる.
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