Japanese
English
今月の主題 胃癌の発育経過
はじめに
Preface
芦沢 真六
1
S. Ashizawa
1
1東京医科大学内科
pp.9
発行日 1978年1月25日
Published Date 1978/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107165
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胃癌の発育経過については『胃と腸』の第5巻1号,第8巻5号でも取り上げられ,またそれに関連してのテーマも,本誌その他や学会などでしばしば発表されている.そして良性の潰瘍やポリープからの癌化はかつて考えられていたほどには多くないこと,あるタイプの癌はその経過の過程でいわゆる悪性サイクルを示すこと,Ⅰ型早期癌の前段階としてⅡb様病変からⅡaを経てのコースが考えられること,Borrmann 2型の進行癌の前段階としてはⅡb様病変からUl(-)Ⅱcの時期のあること,スキルスは見かけは極めて短期間に進展したような像を示すことなどの印象が一般のものとなりつつある.
そもそも胃癌と診断されたからには,出来得れば切除することが現状では唯一の根治療法であり,特殊の場合を除きその経過を見ることは許されない.まして良性の潰瘍やポリープで行われているごとく(常に細心の注意が必要なのだが)癌の発生になるべく近い時点からきめ細かく長期に亘り発育の経過を追うことなどは不可能である.すなわち,かつては別々の症例の病理学的検索の結果を総合し,胃癌の発育の推定が行われていた所以でもあり,いわば点をなんとか線にしようとする努力が行われていたともいえよう.
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