胃と腸ノート
Ⅱa+Ⅱc型早期胃癌の臨床診断(4)
倉俣 英夫
1
1神奈川県立成人病センター
pp.424
発行日 1976年4月25日
Published Date 1976/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107135
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K. S. 53歳 男
レ線所見:立位充盈像で胃体部小彎の辺縁がやや不整で,少しく伸展性がさまたげられている.図1の二重造影像ではこれに一致する胃体上部後壁に粘膜ひだの集中像をみる.この集合ひだの先端は棍棒状に肥大し,一部で融合様の像を呈している.Ⅱc様陥凹の有無は読みとれないが,その周辺には大小不整の凹凸を示している.一方,これとは別に小彎側にも粘膜模様の引きつれが見られるが,わずかなひだ先端の様相や,周辺の粘膜像は不明瞭である.しかし,ここにも小隆起を思わせる不揃いな凹凸陰影が集簇して先述の後壁の潰瘍性変化に連なっている.
内視鏡所見では噴門部に接して,小彎をまたぐ一部瘢痕化した線状潰瘍を見る.この潰瘍を中に周辺は平坦に近い浅いⅡc様陥凹があり,その辺縁で大小不揃いのきわめて低い隆起が取り巻くのが見られる.病変が噴門に接しているので観察は胃壁の過伸展となり,このため隆起は目立たず,Ⅱc様陥凹が目立ち,かつ易出血性である.
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