Japanese
English
今月の主題 腸のカルチノイド
序説
腸のカルチノイド腫瘍―診断の問題点とトピックス(日米の比較を含む)
Introduction
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
pp.853-857
発行日 1989年8月25日
Published Date 1989/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106526
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“カルチノイドcarcinoid”とは“carcinoma(癌腫)”と“-oid(―のような)”との合成語である.カルチノイド腫瘍carcinoid tumorは,通常の癌腫に比べて,組織学的に低い細胞異型度(好酸性微細顆粒状の比較的広い細胞質と円~卵円形の均一小型核を有する細胞から成り,核分裂像がないか,あっても極めてまれ)と,特徴的組織構築とを有し,発育緩徐であることを特色としている.その後,本腫瘍は神経分泌顆粒含有細胞(または内分泌細胞)で構成されていることが判明し,種々のアミンやペプチドを含むこと,ときに機能腫瘍としての症状を発揮することも明らかとなってきた.
しかし,一方で,カルチノイド腫瘍と近似の組織像を示すが,より核分裂像の多い腫瘍(非典型カルチノイド腫瘍など)や,同様に内分泌細胞から構成されるが高度の転移を起こす腫瘍(内分泌細胞癌,小細胞癌など),更に通常型腺癌と内分泌細胞癌との複合腫瘍や杯細胞性(粘液性)カルチノイド腫瘍などの名称が次々と提唱されてきた.
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