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編集後記
吉田 茂昭
pp.476
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106445
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上部消化管出血が本誌で初めて取り上げられたのは第4巻第2号(1969年)であり,第8巻第7号(1973年)では消化管出血の緊急診断が主題となっている.その7年後の第15巻第7号(1980年)で非手術的止血法について詳細な特集が組まれ,更にその9年後が今回の特集である.正直に言えば,この企画を担当するに当たって幾つかの不安があったことは事実である.1つは前回取り上げた各種の止血法に画期的な進歩があったかという点であり,また1つは主題の性質上,“「胃と腸」らしさ”とも言える診断,適応決定,効果判定における形態学的な裏付けが困難ではないかという点である.しかし,先に出版された各特集号と今回のそれを読み合わせてみると,上部消化管出血の診断と治療が技術的な側面ばかりでなく,考え方のうえでも大きく前進していることがよくわかる.この9年間の症例の蓄積によって各方法論の特質が整理され,その適応と限界が明らかにされたことは,これから止血を試みようとする若い医師たちには大いに参考となるものであろう.主題論文,座談会ともこの辺の問題点を十分に意識した内容となっており,小生の不安は杞憂に帰したようである.執筆された先生方,座談会に臨まれた先生方のご苦労を多としたい.
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