--------------------
書評「臨床医の決断と心理―Clinical Decision Making」
丸井 英二
1
1東京大学医学部国際交流室
pp.376
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106428
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
clinical decision makingはわが国の臨床医学には新しい領域である.これに関連して思い出すのは,かつての高橋晄正氏らによる計量診断学であるが,それは必ずしもわが国で成功したとは言いがたい.本書で扱われているのは,計量診断学の流れとは別に,1970年代の一連のアメリカ医療変革運動の中で,生命倫理などと共に必然的に生じてきた新分野である.
新しい分野であるとはいうものの,臨床場面における決断を構成するとして著書が挙げている臨床決断分析(clinical decision analysis),医療認知心理学(medical cognitive psychology),臨床疫学(clinical epidemiology)という3部門はそれぞれある程度は既に研究の蓄積がある.本書はこれらを総合して新しい視野を示してくれているところに新鮮さがある.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.