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書評「外科病棟マニュアル―病棟担当医のチューブマネージメント」
島津 久明
1
1鹿児島大学
pp.375
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106427
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近年,外科診療の高度化に伴い,周術期の患者管理も複雑の度を加えているが,その一面を反映するものとして,チューブ,カテーテル,ドレーンなどの使用機会が著明に増加していることが注目される.手術操作部の局所コントロールのためにドレーンが挿入されることも,ほぼ日常的である。重篤な患者ほど,また大手術の術後ほどその数は多くなる.外科病棟の主治医団が多忙をきわめているか否かは,担当する患者に挿入されているチューブ類の総数を患者数で除した商,つまりチューブインデックスとでも呼ぶべきものによって代弁されるというジョークも聞かれるほどである.これらのチューブ類はもちろん,それぞれ目的をもって使用されるわけであるが,その適応,挿入の基本手技,予測される効果,合併症などについて十分な認識をもって行うべきことは論をまたない.不適切な実施は有害無益である.
ところで,こうしたチューブ類の適正な使用,あるいはそれにまつわる問題点について系統的に解説した指導書がこれまで世に出たことはなかったのではなかろうか.このたび,北海道大学外科田辺達三教授により編集され医学書院より出版された「外科病棟マニュアルー病棟担当医のチューブマネージメント」は,その意味で大いに注目に値するものである.大変時宜を得たものであり,しかも内容的に素晴らしく,非常に利用価値の高いガイドブックである.
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