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今月の主題 上部消化管病変の特徴からみた全身性疾患
序説
上部消化管病変の特徴からみた全身性疾患
Introduction
飯田 三雄
1
Mitsuo Iida
1
1川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)
キーワード:
全身性疾患
,
上部消化管病変
,
上部消化管X線・内視鏡検査
Keyword:
全身性疾患
,
上部消化管病変
,
上部消化管X線・内視鏡検査
pp.1355-1356
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106013
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- Abstract 文献概要
家族性大腸腺腫症は,従来大腸に限局した疾患と考えられていたが,1970年代以降,胃,十二指腸,小腸にも高率に腫瘍性ないし腫瘍状病変を随伴することが明らかにされ,骨腫,軟部腫瘍を合併するGardner症候群と本質的には同一の全身性疾患との概念が確立した1).1977年筆者らは,本症に合併する胃病変2)3),十二指腸病変4)の特徴を報告し,無症状の本症患者が上部消化管病変を契機に早期のうちに発見される可能性を述べた.事実,その後,ルーチンの上部消化管X線検査で十二指腸球部に多発小隆起を認め,それを契機に早期診断された家族性大腸腺腫症の1例を経験し報告した(本号の主題症例5)).
Cowden病は,皮膚,口腔粘膜,甲状腺,乳腺,子宮,卵巣などの全身諸臓器に過誤腫性病変を呈する遺伝性疾患であるが,最近ポリポーシス症候群として認識されるようになった.ポリープは全消化管に分布するが,食道と胃に最も明瞭に認められる.本症では中年期以降に高率に内臓悪性腫瘍を合併するので,その早期診断の意義は大きい.従来診断指標として重視されてきた皮膚粘膜病変が軽微な症例も存在することから,上部消化管病変の特徴像の認識が早期発見のうえで極めて重要と考えられる.事実,筆者ら6)が経験した本症5例はいずれも特徴的な上部消化管病変を有しており,それを契機に本症と診断された.
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