--------------------
書評「イラストレイテッド外科手術―膜の解剖からみた術式のポイント」
小越 章平
pp.1024
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105907
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私ごとであるが,1990年に「イラスト外科セミナー」を医学書院から出版した.私自身がイラストを描き手術記録にどの画も利用できるような意図で書いた.その序文で“このような画なら自分でも描けそうだと思う若い人が出れば,この本の目的は達したと言える”と書いたが,まさに,それに答える期待以上の本が今回出版された.
本書では立体的でかつ簡潔明瞭,極めて要領を得た手術野のイラストが,まるで劇画のように次々と展開されているのには驚きの感をぬぐえない.また消化器外科は解剖,特に膜の解剖理解が大切で,手術基本手技は胃の手術に始まり胃の手術で終わるとも言われる.本書では胃をめぐる解剖,特に網囊Bursa omentalisについての詳細な解剖記載から始まり,更に複雑な直腸,鼠径管をめぐる解剖についての記載で終わっている.初心者のみならず,指導医の立場にある者にとっても,とかくあいまいになりがちな部位の理解を助けてくれ,極めて重宝である.具体的な手術手技は幽門側胃切除から始まり,胃全摘,胆摘,総胆管切開乳頭形成,結腸切除,直腸切除,肝切除,膵頭十二指腸切除,更に虫垂切除,ヘルニアに至るまで腹部消化器外科手術がほぼ網羅されている.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.