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書評「イラストレイテッド外科手術―膜の解剖からみた術式のポイント」
磯崎 博司
pp.1098
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105923
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本を開くと,まず臨場感あふれるすばらしい手術イラストの連続に見とれてしまう.外科医が描いたものとは信じ難い.イラストは余分な線を極力抑えてあり,しかも精緻でとても目に心地よい.フランスの解剖学の実習書「Cahiers d'Anatomie」にも似た図柄により,手術に必要な腹腔内の膜の構造と隣接臓器との関係,手術操作のポイントと手順が容易に理解できる.
最もこの手術書を特徴づけていることは,“術者の目”から視野が描かれていることと,手術を行っている"術者の手"あるいは"助手の手"が図の中に描き入れられていることである。したがって,その手術を術者として経験したものにとっては見慣れた術野の連続であり,“手”が描かれているのでつい自分が手術をしているような錯覚に陥り,頁を繰るごとに手術が進行して,気がつくと最後まで読んでしまっている.今までに類のない手術書と思う.
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