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書評「胃疾患のX線・内視鏡診断と臨床病理」
下田 忠和
1
1国立がんセンター臨床検査部病理
pp.526
発行日 1994年5月25日
Published Date 1994/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105793
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本書は,消化管の外科医とX線および内視鏡診断医の共著による胃疾患の集大成がなされた著書である.また,序文にも書かれているように著者らは病理学的知識も豊富で,これまで自分たちの経験した症例はくまなく詳細な病理学的検索がなされ,かつそれを自分の目で確認してきた.したがって,本書で提示された症例はすべて著者らの努力の結晶であり,熱い情熱が伝わってくるようである.それにしても胃に関する疾患をここまで集積し,しかも臨床と病理を併せて解析したことには頭が下がる思いである.
本書の特徴は,胃癌の疫学から始まって,早期胃癌,進行癌,そしてそれらの診断と治療,更には集団検診など極めて広範囲,かつ基礎的なことから最近の進歩までが網羅されていることである.また,これらが症例中心に分かりやすく述べられており,これから消化管診断学を学ぼうという人たちのみならず,ある程度勉強をした人にも改めて知識を整理するには便利な著書でもある.
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