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書評「ヘリコバクター・ピロリ除菌治療ハンドブック」
西元寺 克禮
1
1北里大学内科
pp.1346
発行日 1997年9月25日
Published Date 1997/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105198
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Helicobacter pylori(HP)と上部消化管疾患との関連は消化器関連学会のトピックスである.本書の編者の1人,藤岡が第1章でまとめているように,①HPは胃炎・消化性潰瘍患者の胃粘膜から高頻度に分離され,ヒトにおける最も高頻度の慢性感染症である,②感染実験で急性胃炎を引き起こし,組織学的な慢性活動性胃炎が持続する,③除菌療法により消化性潰瘍の再発が有意に抑制される,などの点がHP研究の今日の隆盛をもたらしたのであろう.
HPがどのような機序で胃粘膜傷害を引き起こすのかについては,様々な角度から研究されている.本書はこれらのメカニズムについては詳しく言及せず,タイトルの「除菌治療ハンドブック」からもわかるように,臨床的事項に焦点を絞って編集されたものである.その構成は“なぜ除菌が必要なのか”,“除菌治療の判定はどのように行うのか”という総論から始まり,HPがなぜ注目されているのかについてのreviewと,各種疾患との関わりが簡潔にまとめられている.HP感染の診断については判定のガイドラインを含め,各種検査法が紹介され,診断の概要が把握できるようになっている.
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