今月の主題 腸管の血管性病変―限局性腫瘍状病変を中心に
「胃と腸」ノート
腸微小血管病変の病理学的検索に有用な固定方法
八尾 隆史
1
1九州大学大学院医学研究院形態機能病理
pp.839-840
発行日 2000年5月25日
Published Date 2000/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104722
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腸の血管性病変の外科手術材料のホルマリン固定材料において病理学的検索を行う場合には病変の同定が困難であることがある.それは,臨床的には血管造影による造影剤の溜まりとして同定された異常血管網は固定標本では表面からは観察できないことや,固定後には拡張していた血管が虚脱して内視鏡で見えた紅斑(固定後は茶褐色斑)が消失することが原因である.このような場合にわれわれ病理では切除腸管の階段状切片による全割標本作製を強いられ大変な労力を払うこともしばしばある.そして挙げ句の果てには異常血管が検出できない場合さえもある.このような問題を解決するためにはこのような腸の血管性病変の外科手術材料の固定時の工夫が必要である.
Morson&Dawsonの「Gastrointestinal Pathology」(第3版,p559,1990)にも記載されているが,微細なangiodysplasiaの病理学的検索において有用な固定方法を紹介する,その手法に準じて,われわれは以下のような手順で行った(J Clin Pathol 23:139,1996).
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