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編集後記
浜田 勉
pp.128
発行日 2000年1月25日
Published Date 2000/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104638
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20世紀の後半,日本の胃癌研究は樹木に例えるならば病理学,X線および内視鏡による診断学,外科学を3つの幹としてその枝先に“早期胃癌の形態学”という大輪を世界に向かって咲かせたと言って過言ではない.先達のこの偉大な財産を後陣のわれわれは反芻しつづける必要がある.ここに,あえて「胃と腸」20世紀最後の年頭号に基本所見を主題とした企画がたてられたものと考えられる.X線像,内視鏡像のこの所見をこう読み,こう診断する.その病理学的裏付けはこうだ.執筆者が完成したスタイルで呈示した1例1例を,また,ピットフォールとした症例の画像上の差を身を引き締める思いで目で視ながら読み進めていただきたい.
早期胃癌の形態診断は,内視鏡が器機の進歩も相まって病変にますます肉薄し,その全盛期を迎え,それを本号の多くの症例が証明している.また,西元寺らの示した色素撒布の重要性も画像として納得できるが,渕上,中原,芳野,杉野らの示した切除標本どおりの精緻なX線像に安定感を覚える読者も多いのではあるまいか.それだけに術前に撮影するシャープなX線像の位置付けをもっと強調しても,と読後思う.
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