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編集後記
浜田 勉
pp.1088
発行日 2004年6月25日
Published Date 2004/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104259
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良性疾患ではなく胃癌の術後の残胃に,はたして胃癌はどの程度発生するのか,が本号のテーマであった.
幽門側胃切除後を扱った大橋論文でも,噴門側胃切除後を扱った上西論文でも,術後10年以内に,吻合部と離れた部位に多く早期癌が発見されているデータが報告された.また,その背景粘膜は初回癌の発生母地とほぼ同様と八尾は述べ,さらに,海崎らはEB virus,Helicobacter pylori感染などはそれを修飾する因子になるのかどうか疑問とした.これらはつまり,いったん発癌した担癌胃は残胃という新しい環境になってもやはり発癌の傾向をもつということに集約されるであろう.そうなると多発癌を同時性か異時性かとか,異時性で術後の期間の長短とかを論じてもあまり重要な意味をもたないことになるかもしれない.
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