--------------------
編集後記
浜田 勉
pp.1874
発行日 2008年11月25日
Published Date 2008/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101530
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
胃癌の発育に関しては過去多くの論文がある.発育速度が急速か緩慢かに影響する因子はある程度臨床では認識されているが,今回は検討材料を内視鏡的に経過観察された症例に絞って胃癌発育が論じられたところに意義があるだろう.時間的にみて胃癌の発育速度はどうであるのかが焦点だが,果たしてどのような結論が得られたのであろうか.
初回内視鏡像が明瞭となった全国多施設集計の解析論文では,初回肉眼型がM癌では5年以上の長期間大きさや肉眼型に変化は認められなかったのに対し,SM癌では2年以内で速やかに進行癌へと発育したとしている.また,津熊らは早期胃癌と内視鏡診断および生検診断で確認された症例を追跡した結果,約7年以内にその80%が進行癌に発育し,早期癌はほぼ進行癌に発育することを示したが,速度に関しては初回肉眼型など有意差のある因子は認められなかったという.さらに,長浜らはM癌からSM癌まで7年,SM癌から進行癌まで2~3年とし,超高分化型腺癌が発育の遅い因子と挙げた.これらの点は,従来言われてきたこととほぼ同様であり,内視鏡的にも確実に裏づけられたと考えられる.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.