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編集後記
浜田 勉
pp.1758
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104618
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胃に異常所見をみた場合,常に癌を疑いながら形態を観察するのは診断学の常道である.そのとき,炎症性疾患だけではなく他の腫瘍性疾患も考慮に入れるのは当然だが,本号は特に炎症性疾患に限定し,胃癌との鑑別を狙いとして企画された.
隆起,平坦陥凹,びまんの所見別に各疾患の形態的な特徴が多くの症例呈示でまとめられ,生検に頼るまいとする各執筆者の苦労が感じられる.ただ,陥凹病変において,日常的によく遭遇する胃潰瘍の,特に悪性サイクルにおける診断ポイントにも言及してほしかったし,生検の有用性について少し論じてもよかったのではないかと思う.一時期低迷した拡大観察法による鑑別が2つの論文で報告されているが,胃でも大腸のpit patternのような分類が果たして一般化されるか研究段階でとどまるか今後の展開をみたい.また,病理側から癌と誤診される可能性のある疾患が述べられ,臨床側はこのことを十分頭に入れて臨床診断に対応する必要があると考えられた.
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