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書評「臨床決断のエッセンス―不確実な臨床現場で最善の選択をするために」
小林 哲郎
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1山梨医科大学第3内科
pp.1319
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104549
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evidence-based medicine(EBM)という言葉が臨床の場で頻回に使用されるようになってから,われわれ臨床家は診断や治療の根拠と出現する確率を意識しないわけにはいかなくなった.本書は臨床の現場における決断(臨床決断)をどのような根拠に基づいて行うかをわかりやすい実例を持って示してある極めて基本的,かつ明解な解説書である.
医療の現場で用いられる決断のプロセスをデシジョン・ツリーとして表現し,それぞれの起こりやすさ(likelihood)とはどのようなものであるかを多面的に表現している.残念なことに,日常診療の場においてはこのような考え方を100%臨床決断に活かすことはできないかもしれない.これはいまだバックアップを行う医学的なデータが欠如しているという現状があるからである.しかし,多くの臨床的な文献を読み解く際に,本書の考え方は文献の記載が縦糸だとすれば,横糸であり,本書で紹介されている手法を思考に導入することにより,より柔軟かつ強靱な臨床活動ができるものと期待される.
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