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書評「臨床医のためのEBMアップグレード」
上野 文昭
1
1大船中央病院内科
pp.1304
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104546
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数年前からわが国でもEBMという言葉が流行りとなったが,まだ誤解・曲解に基づく批判や誤用が少なくない.その一方で,老若を問わず賢明な臨床医たちはその本質を鋭く捉え,支持する立場に回り始めた.すなわち,個々の患者の問題点に対して最も適切な医療を提供しようというEBMの本質に対しては,臨床医として反論の余地が無いからである.
しかし本質の理解がそのまま実践に結びつくわけではない.最適の医療を提供するためにはできる限りよいエビデンスを得なければならない.これまでに出版されたEBMの入門書はいずれも優れたものであり,的確なガイドとして役立っている.それでもなお情報の収集(ステップ2)と吟味(ステップ3)は骨の折れる作業であり,広汎な臨床疫学的知識を必要とする.日常診療では二次情報ソースを活用しながらこれらのステップを簡略化する方法も是認されるが,いざというときには本格的に取り組みたいし,少なくとも知識と技術だけは有しておきたいものである.これまで臨床疫学を学習する機会を得なかった臨床医は,一歩先に進めずに悩むことも多かろうと思われる.
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