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書評「臨床決断のエッセンス―不確実な臨床現場で最善の選択をするために」
大生 定義
1
1横浜市民病院神経内科
pp.705
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103515
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この度,秋田大学第3内科今井裕一助教授の手によって,『臨床決断のエッセンス:不確実な臨床現場で最善の選択をするために』が翻訳出版された.この原著者のRichard Gross先生のセミナーは,私が昨年米国内科学会に出席した折に受講し,原著である『Making Medical Decisions』もすでに数年前に購入して一読しており,この方面については一定の理解はしていたつもりではあった.しかし,今井先生のこの本はまさに訳書を超えている.原著とあるいはGross先生との共著と呼んでもよいと私は考える.初心者や日本の読者にとってわかりにくいところ,もう読むのをやめようかと思うところに,ちょうど今井先生の注釈やサイドメモがある.興味をつなぐ工夫がある.
この本を読ませて頂き,おかげさまで私自身も頭の中が整理されてきたことを実感する.臨床決断(あるいは判断,今井先生はこの本では決定と訳されているが)分析は,大変重要とは思うものの,一般臨床医にはとっつきにくい分野である.今井先生はGross先生との見事な共同作業でこの難問を解決されている.今井先生とは,『臨床指導医ガイド』(医学書院)などの出版の前からも,内科専門医会での卓越した発言・提言に個人的にも心からの尊敬を感じていたが,この本のなかにもその一端がちりばめられ,読者のかたがたにも随所できっと私に共感していただけると確信する.
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