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書評「COUINAUD 肝臓の外科解剖―Surgical Anatomy of the Liver Revisited」
山岡 義生
1
1京都大学医学研究科消化器外科講座
pp.1238
発行日 1996年9月25日
Published Date 1996/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104306
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京都大学第2外科で生体部分肝移植の準備を始めたとき,以前から漠然と知っていたつもりのCouinaudの肝臓の解剖を確実にする目的で,このオリジナルを発注したのが本書との最初の出会いであった.コピーを教室の仲間に配り,共通の知識にしようとしたのである.そのとき初めてこの本が自費出版であり,発注先がCouinaud先生のご自宅であることを知った.
本書の原書に接して,その内容の豊富さに驚嘆するとともに,フランス人の思考をそのまま英語に置き換えたことによると考えられる読みにくさもいやというほど知らされた.英語のほうに慣れているわれわれにとって,仏語と英語は微妙に異なった使い方がされることも,読みにくさの原因の1つであったろう.この難解な本を,われわれ日本人のために翻訳するというとんでもないことを企画され,持ち前の粘り腰で完訳された二村雄次教授に改めて深い敬意を表する.二村一門の“胆管の読み”の確かさには以前からわれわれも啓蒙されてきたが,これもCouinaudをいかに熟読してこられてきたかということで納得できる.
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