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書評「肝癌診療A to Z 国立がんセンター東病院の治療戦略」
山岡 義生
1
1京都大学医学研究科消化器外科学
pp.1656
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103389
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国立がんセンター東病院肝臓グループによる「肝癌診療A to Z」が刊行された.本書の各頁に占める図と表のスペースはかなり多いが,それぞれの表,図が無秩序でなく意図をもって並べられていることが一瞥してわかる.それは,頭だけで考えた構成でなく,実際に診療の上で直面した問題点を研修医にわからせるためには,どのような順序で図表を使って説明するかの答えを出しているからである.外来レベルでの問題点,診断に至るまでの検査の進め方と,つい上医に聞いてしまいそうな所が,これを読んでいれば順序だって対応できる.しかも,一番大切な“どんな所見のときに治療が必要か”まで極めて要領よくまとめられている.ここまでマスターすれば研修医合格である.
“治療法の選択”においても,各種治療法の概論と各治療法に期待できる範囲を,自分のデータを根拠に述べたあと,国立がんセンター東病院としての基準が出されている.最近,患者さんへの説明について,担当医はEBMが実行できているのか?との疑問が出されているが,まさにこの基準が施設としての良識というべきである.
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