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編集後記
西元寺 克禮
pp.1694
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103396
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早期胃癌の治療は内視鏡的粘膜切除術(EMR)や鏡視下手術の普及で多様化し,この変化に則した診断学の確立が望まれている.すなわち,正確な(あるいはより精密な)深達度診断,リンパ節転移の診断,EMR後の遺残再発や同時・異時性多発胃癌の診断,そして診断の原点であるスクリーニング法である.今日検診で広く用いられるようになったペプシノーゲン法の有用性が八巻の論文で初めて明らかにされたと思われる.EMRの術前診断はほぼ満足するべきもので,EUSの絶対的必要性は認めないという結論も新鮮であった.国立がんセンターより多数例のm癌,sm癌のリンパ節転移率の報告と西上論文でのリンパ節転移陽性sm癌の特徴は今後の治療法の選択におおいに参考になる.リンパ節転移については慶應外科よりradio-guided sentinel node navigation surgeryの成績が報告されている.今日学会でもホットな討論が行われているEMR後の再発と多発胃癌についての報告も併せ,表題の「早期胃癌診断の実態と問題点」のほぼすべてが明らかになったものと考える.本号が日常臨床の指針となるとともに,今後の診断学向上の一里塚になることを希っている.
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