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書評「胃と腸アトラスⅠ/胃と腸アトラスⅡ」
寺野 彰
1
1獨協医科大学消化器内科
pp.1498
発行日 2001年11月25日
Published Date 2001/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103361
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本書は,「胃と腸」誌に掲載された膨大な症例の中で典型的かつ代表的な症例を体系的に整理し,上部消化管を中心とした上巻「Ⅰ」と下部消化管を中心とした下巻「Ⅱ」に分けた大部の書である.本書の特徴は,貴重な各症例を,レントゲン,内視鏡そして病理各所見を有機的かつ統合的に理解すべく編集されていることであろう.最近軽視されがちのレントゲン所見が消化管疾患の全体的把握のためにいかに重要かを示しつつ,かつあくまでも局所的,表面的観察にとどまる内視鏡所見の限界を示し,近年の内視鏡至上主義に警鐘を鳴らしているようにもみえる.さらにこれら臨床所見も結局は病理診断に依存することになるのであるが,しかしそれも絶対的なものではなく,あくまで両者の統合的理解の下に診断は成り立つものであることを示している.
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