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書評「新超音波医学 第2巻 消化器」
北島 政樹
1
1慶應義塾大学医学部外科学
pp.306
発行日 2001年2月26日
Published Date 2001/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103152
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近年,画像診断に関する出版物および論文は実に多く刊行されていることは周知のとおりである.とりわけ超音波に関するものが多く,いわゆる初学者にとってはどれを選択するか迷うところであろう.そのような状況下でこのたび日本超音波医学会が編んだ本書は,種々の選択条件を満たし,その成り立ちからしておおいに注目に値する.
まず,「序」の中で松尾裕英前学会理事長が記しておられるように,この企画は学会が主体となって刊行された1966年以来3冊目の成書であることがわかる.学会自体が世に問う形で精力的に編集し刊行を行うことは過去に例をみず,たいへんなエネルギーと協力が必要であったと推察され敬意に値する.加えて新世紀の要請に合わせて内容の大改訂を図り,書名も「超音波医学」から「超音波診断」へ,更に今回「新超音波医学」へと変遷をたどった経緯も興味深い.その「消化器」の部を読んでみて最も印象的であったのは,その執筆陣の新鮮さと熱意がひしひしと伝わってくることである.一般に学会主導の書物では通例として高名な大家が筆頭著者に並びがちであることは否めない事実である.しかし,本書においては著者はいずれも現在一線の臨床の場で超音波診療に携わり,しかも学識・経験も豊かな医師で占められていることが見てとれ,このことは学会の自信の表れと言っても過言ではない.
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