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内視鏡的切除後の根治度は,①切除局所の評価,および②切除標本の評価から判定されるのが一般的である.大腸腫瘍(今回は腺腫,m癌を対象としているので,以下,垂直断端は陰性で,深達度および異型度は組織学的に確定していることを前提として述べる)の内視鏡的切除の場合,実際の臨床の場では②よりもむしろ①のほうに重きを置くべきであると思われる.というのは,大腸腫瘍の主な発育進展様式であるadenoma-carcinoma sequenceにより,担癌腫瘍であっても辺縁は腺腫成分であることが多く,その場合,切除標本の水平断端が陽性でも標本上少なくとも癌腫成分の残存はないことが確認できることが多い.また,いわゆるburn effectにより残存した腺腫成分の脱落がかなり期待できるからである.しかし,burn effectの程度は様々で,水平断端陽性例,特に癌腫(成分)の陽性例は当然局所再発の可能性を考慮しなければならない.そういった意味で②に絶対性はなく,①としての“その後の経過観察”が非常に重要であると考えられる.当科では,内視鏡的切除治療後,1年前後以内にfollow-up内視鏡検査を施行することを原則としている.そして,切除標本上で癌腫存在の有無,癌腫(成分)の水平断端の有無を確認し,それに基づいて経過観察の期間を更に短く設定している.しかし,腺腫(成分)の水平断端の有無は,経過観察期間を短くする因子として扱っていない.また,近年,大腸腫瘍の内視鏡的切除治療の適応拡大に伴い,以前は内視鏡的には治療不可能であったいわゆる結節集簇様病変あるいは広基性腫瘍に属する比較的大きな腫瘍が積極的に内視鏡的に切除されるようになった.その反面,大きな腫瘍ほど分割切除になることが多く,治療後の局所再発が高率であることも指摘されている.分割切除の場合,切除標本の再構築が困難になることがあり,標本上の評価も難しいことがある.当科では,切除粘膜径が2.0cm前後以上の腫瘍は,担癌率が高いことも考慮し,一括切除,分割切除を問わず経過観察の期間を短く設定している.
現在当科で行っている内視鏡的切除治療後の切除標本の評価,それに基づく経過観察,および根治度判定についてFig.1に示した,癌腫(成分)の水平断端陽性例は,follow-up内視鏡検査時に全例瘢痕部から生検することを原則としている.他は内視鏡的に明らかに局所再発がないと判断できれば,必ずしも生検は必要としない.
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