Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
消化管腫瘍の内視鏡治療例における根治度判定は,①切除局所における腫瘍遺残の有無の内視鏡的評価,②切除標本の肉眼的および実体顕微鏡的な側方断端評価,③病理組織学的な深部断端および側方断端の評価ならびに組織型,深達度,1y,v因子などの検索,④切除後の局所再発および転移に対する経過観察の4点を基本として行われていることが多いと考える.ここでは,切除された病変が大腸の腺腫・m癌(sm癌ではない)と限定した場合の根治度判定に関し,上記①から④についての私見を述べる.
①については,胃癌などと異なる大腸上皮性腫瘍の特徴の1つとして,腫瘍辺縁が内視鏡,特に色素内視鏡によって明瞭に識別できない症例は極めて少なく,また周囲にskip lesionを伴うことは通常ないという点が挙げられる.したがって,多くの症例においては,①のみで側方断端の判定が可能と考える.内視鏡的切除方法によって若干の相違はあるが,この際,最も重要なことは切除後に切除局所を十分洗浄することである.切除辺縁に残った粘液・血液や撒布色素,およびそれらの凝固物質をきれいに除去する.われわれは,50ccシリンジに充塡したガスコン水を直接鉗子チャンネルからフラッシュしている.そのうえで,色調や粘膜面の性状の違いから腫瘍の遺残の有無を観察する.スネアリングに伴ううっ血などのために発赤調を呈していたりして判定が困難であったり,EPMR(endoscopic piecemeal mucosal resection)やEMR症例においては,インジゴカルミンを撒布し,正常pitか腫瘍性pitかを観察し,遺残の有無を確認する.拡大内視鏡観察がより確実と思うが,この確認を目的とした場合は,ほとんどの症例で通常内視鏡+画像強調+色素撒布でpitの確認は可能と考えている.腫瘍遺残がみられた場合は追加内視鏡切除を原則とするが,遺残がごく少量であったり,遺残か否かまぎらわしい場合はhot biopsyするか凝固子で凝固する.正常粘膜部を含んだ範囲で十分な凝固が加えられれば側方断端は一応陰性と判断するが,後述する④における経過観察期間を短く持つ.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.