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書評「内視鏡外科用語集」
吉田 修
1
1日本赤十字社和歌山医療センター
pp.1530
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102870
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気腹して内視鏡で腹腔内を観察しようという試みは,1901年Kellingがイヌの腹腔に空気を入れ,膀胱鏡を用いて腹腔内を観察したことにさかのぼる.しかし,この手法はヒトに用いられるには至らず,臨床的に応用されるまでにはかなりの年月を要した.内視鏡外科が今日のように発達するためには,内視鏡の改良とビデオシステムの応用,更にはトロカーをはじめ各種鉗子などの装備と器具の開発が必要であったからである.したがって腹腔鏡下手術がわが国に導入されたのは比較的近年のことであり,10年以上は経っていない.にもかかわらず内視鏡外科学の進歩は目覚ましく,腹部外科にとどまらず,産婦人科,胸部外科,泌尿器科,整形外科,形成外科などに拡がり,既にそれぞれの領域でminimally invasive surgeryの1つとして定着したと言っても過言ではない.
このような時代の流れの中で,日本内視鏡外科学会が設立されたのは必然であると言えるが,多くの専門分野を包含した新しい横断的領域ができると,用語の統一が優先的に必要になってくる.当初は1aparoscopic surgeryを腹腔鏡手術と呼び腹腔鏡下手術とは言わなかった.なぜなら腹腔鏡下手術は,読み方によっては下手術になるなどという他愛のない声も聞こえた.日本内視鏡外科学会では,新しい横断的領域には共通した言葉が必要であるとの認識のもとに各科領域から委員を選出し用語委員会を発足させ,「内視鏡外科用語集」の作成を開始したわけである.
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