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書評「膵疾患アトラス症例に学ぶ診断・治療の考え方」
佐藤 寿雄
1,2
1東北大学
2仙塩総合病院
pp.311
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102487
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「医療,医学は患者と共に始まり,患者と共にあり,患者と共に終わる」(ウィリアム・オスラー).ある有名教授が言った.「教科書に書いてあるのはウソである」と.教科書は最大公約数的な,普辺的な事実を記載しているのであって,決して間違ったことを書いているのではない.系統的な知識体系を学びとるには必要なものである.しかし,患者の示す病像は多彩であり,系統的な成書のみを参考にしていては日常の臨床で思わぬ不覚を取ることがある.もともと刺激に対する生体の反応は一様ではない.教科書の記載とは様相を異にする症例に遭遇することもまれではない.臨床の難しさは患者が多様な反応を示すことにある.そのような実例を示してくれるものは臨床の実際に有力な指針となるものである.
このような目的に沿ったものとして,このたび,東京女子医科大学羽生富士夫教授は「膵疾患アトラスー症例に学ぶ診断・治療の考え方」を上梓された.同教授は「外科の神様」中山恒明教授の高弟であり,執筆された方々は羽生教授御一門の俊秀,学究の士である.同教授は消化器外科一筋に歩んでこられた方で,既に第33回日本消化器外科学会総会を主宰されている.one of the most aggressive surgeonsのほまれ高い,意欲あふれる,精惇そのものの典型的な外科医である.
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