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ガイドライン作成の目的
八尾(司会) 「胃癌治療ガイドラインをめぐって」の座談会を始めたいと思います.胃癌治療ガイドラインが出て1年半ぐらいですが,よく知らない人もいるかもしれない.しかし,現実には一般用も含めて出版されて世の中に出まわっていますから,胃癌の診断・治療にかかわる医師がガイドラインを読んでいない,知らないでは済まされない.まずガイドライン作成の目的と原点を愛甲先生,笹子先生にお話しいただいて,それから実際の臨床に対する影響,問題点,将来の話を網羅できればと思います.気楽な座談会にしたいと思いますので,よろしくお願いします.
愛甲(司会) このガイドラインが作成された背景について,口火を切らせていただきたいと思います.それについては,既にガイドラインの前書に書いてございます.ご承知のように近年早期胃癌が急増し,一方では,晩期の胃癌症例や再発症例が少なくないのも現状です.すなわち治療対象となる患者さんが,最近,大変多様化したことが大きな特徴かと思われます.そういう中で,従来の治療法,あるいは標準的治療と言われたものでは対応しきれない症例が増加してきました.すなわち内視鏡的粘膜切除,腹腔鏡下手術,機能温存の縮小手術,あるいは進行癌に対しては,超拡大手術等が行われてまいりました.化学療法にしても,混沌とした状況でして,こうした治療法の多様化により,選択肢が増えてきたわけです.その選択肢は,現場の医師によって選択されますが,これではあまりにもよろしくない,治療担当者が参照すべきガイドラインの作成がぜひ必要であるということで,第71回の日本胃癌学会総会にあたり,今回のガイドラインが作成されたわけです.このガイドラインの作成と公開を望む声は,タイムリーなものでして,第一線の臨床家の間でも受け入れられたという事情がございます.そして,医師・患者の相互理解に役立つものと非常に大きな期待をかけられたということです.ガイドラインの具体的な目的について,作成に尽力された笹子先生からお願いします.
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