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今月の主題 早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点
主題
早期胃癌に対するESDと腹腔鏡下手術の接点―私はこう考える:病理の立場から
Intersection of ESD and Laparoscopic Surgery for Early Gastric Canser: My View: In Terms of Pathology
八尾 隆史
1
,
恒吉 正澄
1
Takashi Yao
1
1九州大学大学院医学研究院形態機能病理
キーワード:
ESD
,
リンパ節転移
,
転移危険因子
,
D2-40
Keyword:
ESD
,
リンパ節転移
,
転移危険因子
,
D2-40
pp.1550-1552
発行日 2006年10月25日
Published Date 2006/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100678
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胃癌治療ガイドライン1)において内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)の適応基準(および拡大適応基準)が提唱されているが,ここではその基準に対する病理学的評価の問題点を挙げながら,ESD(endoscopic submucosal dissection)と腹腔鏡下手術の接点について考えてみたい.
内視鏡的に切除する場合には,リンパ節転移がないものに対して行われるべきである.胃癌治療ガイドラインにおいては,M癌,2cm以下,分化型の3因子を満たすものがリンパ節転移の危険性がない病変として,EMRの適応病変とされている1).EMRの時代では完全切除可能な病変は2cm程度までなので,完全切除できる分化型M癌はEMR,それ以外の大きなM癌やSM~MP癌でリンパ節転移が画像的にないかその危険性が少ないものは腹腔鏡下手術,リンパ節転移を画像的に認めるもの,あるいはその危険が高いものは開腹手術という理解で十分であった.しかし,ESDが導入されるようになり病変の大きさの制限がなくなり,しかも潰瘍瘢痕があっても切除可能となってきたため,少なくとも腹腔鏡下手術の適応病変の一部は内視鏡的切除で十分根治できるようになってきた.実際は,腹腔鏡下手術ではリンパ節郭清も行っているので仮に結果的にリンパ転移が陽性でも根治は期待できるが,ESDを試行するにあたってはリンパ節転移があってはならないので,リンパ節転移の有無に対してより厳密な評価が必要である.
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