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大谷(司会) 今日はご出席ありがとうございます.胃癌の治療といいますと,1881年にTheodor Billrothが初めてBillroth I法の手術に成功してから,既に125年が経過しているわけですが,今でも胃の手術では,相変わらずBillroth I法が行われたり,あるいはRoux-en-Y法など様々な再建術式の工夫がされたりしているわけです.わが国では1960年代から胃癌の手術が普及し,1980年代には早期胃癌が少しずつ増えてきたこともあり,外科的縮小手術あるいは内視鏡治療が始まりました.内視鏡を用いたstrip biopsyや,EMR(endoscopic mucosal resection)も登場しました.1990年代に入ると今度は腹腔鏡下手術が導入され,腹腔鏡を用いた局所切除,それから幽門側切除が徐々に行われるようになってきました.そして,1990年代後半からはESD(endoscopic submucosal dissection)が,いよいよいくつかの施設で積極的に行われるようになりました.われわれ外科の立場から見ると,早期胃癌に外科的治療が行われるケースが,ここ1,2年やや減少している印象があります.つまり,手術に回らずに,内科の先生がESDなどで治療しているケースが増えていることがその背景にあると思います.最近の集計では,大体年間2万~3万件の内視鏡治療が行われ,そのうち6,000~7,000件がESDということですので相当治療体系が変わってきた感じがします.今日はそのあたりについて,エキスパートの先生方に議論いただき,現状や今後の展望を語っていただきたいと思います.
早期胃癌に対するEMR・ESDの歴史
小山(司会) まず,内視鏡治療から話を始めたいと思います.今,お話がありましたようにEMRは1980年代に開発され,最初はERHSE(endoscopic resection with local injection of hypertonic saline-epinephrine solution)法,strip biopsy法の2つでしたが,その後1990年代に吸引法が登場し,1990年代後半からESDが開発されました.このあたりの歴史について,長南先生お願いします.
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